ラファウ・ブレハッチ Special Interview

月刊ショパン10月号掲載/文:ポーランド市民交流友の会 影山 美恵子

ワルシャワ・サスキ公園で

 『ポーランド人は、ブレハッチを家族のように愛している。』

8月末に、ポーランド、ワルシャワフィルハーモニーホールで開催された音楽祭「ショパンとショパンのヨーロッパ」に出演した、 ラファウ・ブレハッチ。満場の観客は総立ちで温かい拍手とエールを贈り、まるで息子か孫、兄、弟を賛美しているかのようだった。ブレハッチと同年代の若者達もたくさん来ていた。ステージから客席の一人一人に丁寧に頭を下げるブレハッチの表情は、まるで「ありがとう」と言っているのが聞こえるような笑顔だった。まさに大ホールに一家族が集結したコンサート。日本では見られない光景だ。

ワルシャワ市内のあちこちに張られた、音楽祭「ショパンとショパンのヨーロッパ」

「この音楽祭はワルシャワのファンの皆さんの前で演奏できた、素晴らしい機会となりました。2回目の今年は、かつてショパンコンクールで優勝された、アルゲリッチさんや、ダン・タイソンさんも演奏されています。」

 今回の演奏曲はすべて自分で選曲したそうだ。1部はバッハ「イタリアンコンチェルト」,ドビッシー「ベルガマスク組曲」と「版画」。第2部のショパンについては比較的有名ではない、演奏が困難とされている幻想ポロネイズやマズルカop.50などを演奏した。「ポロネイズop.61など、ほとんどショパンの死の直前に作られた大作で、それほど演奏されることがないからこそ、選曲しました。この音楽祭で新しいレパートリーの披露が果たせました。」と嬉しそう話す。「そのための練習は欠かせない。テクニック的なことを100%に完成することからはじめ、その後、一つ一つの音に『色』を塗っていきます。それは心を自由にして、ショパンを理解することと思っています。」

母とのんびりする一時。気分転換の散歩は大好き。(ワルシャワ・サスキ公園)

 今回の演奏された曲は、日本でも披露される。4回目となる来日で、いつもは父親と一緒だが、初めて母親と妹も同行する。「ポーランド人は親日家が多いですよ。『桜咲く国』と言ってあこがれています。僕も友達から来日をうらやましがられるのですが、残念ながら、いままでの滞在中はコンサート会場とホテルの往復だけで、日本の文化に触れるチャンスはありませんでした。今度こそ京都へ行きたい。秋なので紅葉がきれいと聞きました。お寺や竹林を歩けたら嬉しいですね。でも、妹はデイズニーランドへ一番いってみたいと言っています。僕も興味はありますから、行ってみたいですね(笑)。誕生日に日本のファンクラブのみなさんからたくさんのメッセージやプレゼントを贈っていただきました。感激しました。日本のファンのみなさんはとても温かく優しいです。11月の公演を待ち望んでいることが書かれていました。とてもありがたいです。」とはにかみながら話す。

9月はスイスで,10月はワルシャワ,11月日本,12月アムステルダム、コンサート日程は一杯だ。新しいCDも来年秋には完成し、日本でも発売される。ショパンのソロとコンチェルトが録音される予定だ。

「ブレハッチの喜びは、ピアノを演奏することと、その演奏を観客に喜んでもらうこと,その二つが全て」と、彼の師事するポポヴァ教授が語っていたことを思い出す

2006/9/20発売月刊ショパン10月号掲載


ブレハッチ母子と筆者(ワルシャワ・サスキ公園)

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