ポーランドの新星ラファウ・ブレハッチを訪ねて (2004.3月)

『発掘された逸材:ラファウ・ブレハッチ』RAFAL BLECHACZ

多くの才能を世界中から発掘してきた浜松国際ピアノコンクール。2003年度第5回コンクールで最高位受賞(一位なしの二位)のラファウ・ブレハッチ(当時18歳)は書類審査の落選者。その後のウイーンでのオーデイションで復活し、その出場資格が与えられ、審査会見でたびたび中村紘子審査委員長から『ウイーンで発掘した逸材』と評されていた。このオーデイションはキャリアの乏しい優れた新人を見つけだすのが目的。ブレハッチはまさにそこで拾われた一人だ。数々の国際コンクール入賞経験者が37名もいるという高レベルの出場者の中で、彼は全くの無名で登場した。

    今後の豊富を静かに語るラファウ(自宅で)

ラファウはポーランドの首都ワルシャワから北西250キロのビドゴシチ市からさらに西へ30キロのナックオ・ナデ・ノテチョンの田舎で両親と7歳年下の妹と住んでいる。

「教会のミサが終わると、町の人たちはラファウの演奏を楽しみにしています。」と嬉しそうに話す両親。敬虔なクリスチャンの家庭に育ち、幼い頃から両親に手を引かれ教会通い、やがてその教会でオルガン演奏をするようになる。『病気がちの祖母によくピアノを演奏していました。祖母は喜んで一緒に歌を歌っていました。』と、両親は、物静かで祖父母思いのやさしいラファウについて話す。

    教会でオルガン演奏するラファウ

ラファウの妹パウリナ(11歳)は、兄が日本に発つときは、寂しくて空港で泣いたそうです。それを話す母親のそばから、パウリナは兄からの日本のお土産の手鏡を照れながら見せてくれました。家には仲の良い兄妹の写真がたくさん飾られ、深い家族愛が見えました。

         妹に日本の思い出を披露するラファウ

両親は教会の牧師さんのすすめでラファウに4歳からオルガンを習わせました。2人とも音楽家ではないけれど、彼の音楽的才能に気づきなんとかそれを伸ばそうと奔走しました。父親のワルシャワ国営ラジオ局の友人が、「ビドゴシチには毎年ルービンシュタイン国際コンクールがある、そこには著名な審査委員が来るから、ラファウの演奏を聞かせてはどうか?」と提案。そこで出会ったのが、現在師事しているK・ポポヴァ=ズイドロン教授(ビドゴシチアカデミー学院教授)。4年前、初めて彼の演奏を聴いたポポヴァ教授は語る。

『ラファウには特別の印象はありませんでした。テクニックもよく、ピアノが上手な一般的な学生と感じました。そこで「彼に必要なのは音楽性だ」と、曲に流れる一音一音の意味、物語、感動を丁寧に説明しました。3か月後に、学内で実技試験がありました。

すると驚きました、ラファウは見事に私が伝えたことをぴったりそのまま演奏したのです。まるで真綿が水を吸い込む様に。それは、彼の天性です。

私は、彼独自の演奏ができることを希望しています。彼の演奏にはピアニストとして語りかけてくるものを感じます。彼にとって大切なのは教師の力より、家族愛と思っています。ショパンもそうでした。ラファウを見て下さい、ショパンによく似ているでしょ? 彼の手もそっくりです。大きさも形も、ショパンと同じですよ。(笑い)』

ポポヴァ=ズイドロン教授(右)とレッスン風景(国立音大ビドゴシチアカデミー学院)

自宅のアップライトのピアノで練習するラファウに、「国を代表して国際コンクールに参加するには気の毒」と、ワルシャワ市が日本へ出発する2か月間グランドピアノを練習のために貸してくれたと言う。そして浜松国際ピアノコンクールで最高位を受賞しました。現在ではその獲得賞金で初めて自分のグランドピアノを手に入れることが出来た。

受賞帰国後、ラファウのまわりは忙しくなった。今年早々には、アフリカ・カサブランカで第4回モロッコ国際ピアノコンクールに出場。このコンクールは、若手国際コンクール入賞者だけが主催者側から招待されて行われるコンクールである。そこで、ブレハッチは堂々優勝した。

12人の審査委員のうち、浜コンでも審査員をしたピオトル・パレッチニ氏(ポーランド・ショパンアカデミー学院教授)は語る。

『ブレハッチが、浜松国際コンクール後、他の国際コンクールで別の審査員達に演奏者として高く評価されて大変嬉しい。もちろん、そこでも僕を除く他の11名の審査員達は彼のことを全然知らなかった。ブレハッチが演奏しはじめると、みんな息をのんで驚いた。「あの子は誰?」と(笑)。若い演奏者はテクニック思考で、がむしゃらに演奏しがちです。しかしブレハッチの演奏は彼等と違う。詩情に溢れ、ロマンテイックな音楽性で、審査員達の注目を集めました。ブレハッチのショパンは素晴らしい。』と絶賛。

まさにポーランドの「発掘された逸材」は、大きなチャンスを与えられ、世界に飛び立とうとしている。

モロッコ国際ピアノコンクール会場でパレッチニ教授(右)駐モロッコポーランド大使(左)

   国立音大ビドゴシチアカデミー学院を案内するブレハッチ、影山(右)

月刊誌『ショパン』6月号掲載:筆者・ポーランド市民交流友の会:事務局影山美恵子

緊急お知らせ(追加:2005年11月3日付)

ブレハッチを応援するための「ラファウ・ブレハッチジャパンファンクラブ」(会長:片桐章利)がこの度結成されます。ブレハッチの活動を支援しながら、ブレハッチを通じて、クラッシク音楽の普及とポーランド日本友好・文化交流にも貢献する会として、結成されます。

問・連絡先: 事務局 砂子祐子

メールアドレス<ra_piano2005@yahoo.co.jp> fax 053 523 1297

共催:ポーランド市民交流友の会

後援:駐日ポーランド共和国大使館

ファンクラブホームページ http://sunakotakehiko.hp.infoseek.co.jp/051117.htm

今までの「ラファウ・ブレハッチを訪ねて」シリーズも御覧下さい。

Prosze zajrzec na strone.

ブレハッチを訪ねて『プラハ〜ナックオ』:ファン旅行記 08.6

★『ブレハッチを訪ねて-11:プラハ〜ナックオの旅』2008,6/2-9

2008/2月 ブレハッチを訪ねて:11 ミラノコンサート

2007/3月 ブレハッチを訪ねての旅-1 ミュンヘン〜ナックオ記事掲載その1(月刊ショパン、ムジカノーヴァ)/   記事掲載その2(ピアノスタイル)

RAFAL BLECHACZ ブレハッチを訪ねてビドゴシチ:9(07/9)Ukonczona Akademia

ブレハッチを訪ねて8:名古屋公演プログラム 5.31.2007 Program koncertu w Nagoi

ブレハッチを訪ねて7/ドイツ〜ナックオの旅 04/2007 Podroz do Nakla

☆ブレハッチファンクラブ親睦会報告 11/2006 Spotkanie fanklubu w ambasadzie

☆ブレハッチを訪ねて 6:来日記念インタヴュー(06/11) Wywiad przed przyjazdem do Japonii

☆ブレハッチを訪ねて 5:音楽祭inワルシャワ(06/10) Festiwal w Warszawie

ラファウ・ブレハッチを訪ねて.4 :「優勝後」6/6 Zwyciezca Konkursu Chopenowskiego

ブレハッチ近況.インタビュー6月10日付、06 Wywiad z okazji jego urodzin

☆ブレハッチメッセージ 06.7.16 Przeslanie Rafala

☆ブレハッチを訪ねて3.:ブレハッチファンクラブ代表片桐章利氏(2006/1/10)Pan Katagiri - prezes fanklubu
☆ラファウ・ブレハッチを訪ねて2.:優勝!(2005/11月 Zwyciestwo

☆ポーランドの新星ラファウ・ブレハッチを訪ねて1(.2004 /4) Nowa polska gwiazda

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