ポーランド映画”ショパン− Pragnienie milosci”「愛の渇望」

ショパンアカデミー春季ピアノセミナー(期間3/14ー3/26)開催中、幸運にもショパンの映画を見ることができました。ワルシャワのあちらこちらにそのポスターは掲示され、ビルにも大きく広告されておりました。黒いタキシードを着たショパンの横顔の向うから、ジッと情熱的な目でサンドがこちらを見つめる写真です。(下:ポーランド映画雑誌より)

(ワルシャワ在住ピアニスト河合優子さんの紹介文より)ショパンの伝記映画です。映像では「会議王国」時代のコンスタンティン大公に請われて(気がすすまないながらも)演奏に出かけるフリデリック、出国、パリ、マヨルカ、ノアンの生活、サンドとの別れ、死を前に家族を手紙で呼び寄せ、死後、姉ルドヴィカがフリデリックの心臓を胸に帰国、国境を超えるところで終わっています。

監督は Jerzy Antczak、ショパン役は Piotr Adamczyk、ジョルジュ・サンドはDanuta Stenkaです。粗暴なコンスタンティン大公をJanusz Gajosが演じています。使用人ヤン役のMarianOpaniaがとてもいい味を出しています(ポーランドの民族音楽・舞踊にワープする場面など)。時代考証的に「あら?」と思われる点はありますが、心理描写(モーリスが母サンドの愛を求めて激しく嫉妬し、次第にショパンも追い詰められていくところなど)やポーランド人気質の表出など、とてもよくできていると思います。

映像とショパンの曲が総てにぴったりあっていて、感動のあまり2回も映画館へ出向きました。ピアノ演奏は1970年ショパン国際ピアノコンクール6位入賞ヤヌーシュ=オイレニチャック(ショパンアカデミー学院卒業)が演奏していますが、他にも多くの有名ピアニストが演奏しています。日本人では横山幸雄さん(1985年ショパン国際ピアノコンクール3位入賞)が、リスト役の演奏する『革命』を演奏されていました。スクリーンに広がるポーランドの風景は雄大で美しく、永遠のように連なる平原、民俗音楽、森で羽を広げるコウノトリの群れなど、ショパンが望郷の念にかられる愛国への想いが切々と感じました。特に、ポーランドを思い夜道を散歩する映像、見上げた青白い満月は雲に隠れるように流れ、そこにはヨーヨーマの『チェロソナタ』が演奏されるシーンは涙がでるくらい美しく、また、姉ルドヴィカがショパンの心臓を胸に帰国する際、国境でロシアの憲兵から検問される時のあの無表情さと馬車がポーランドの土を蹴って去るシーンは印象的でした。

演奏されていた主な曲:エチュードop10-12(革命)/エチュードop25ー1/エチュードop25-11(木枯らし)/ワルツ遺作イ短調/子犬のワルツ/ノックターン遺作/アンダンテ スパナートと華麗なポロネーズ など他

この映画は、PKO(Bank group)が出資し、現地ロケ、衣装/装飾品、室内装置など莫大な総製作費用をかけた豪華な映画になりました。河合さんが紹介された出演者は映画俳優よりも舞台俳優として活躍されていると聞きましたが、それぞれが役に見事にはまった演技に驚きました。ジョルジュ・サンドの登場シーンは衝撃的でした。荒廃したパリの街を嘆き彷徨うショパンをタバコを喰わえ射るよう見る彼女はまるで男性。やがてダイヤのように高貴に輝く美しい女性への名演技は、拍手喝采です。偶然その夜、ジョルジュ・サンドを演じたDanuta Stenka出演の映画がテレビで放映されていました。そこには全く別人の素朴な農婦役、彼女の女優振りを確認しました。モーリス役は繊細で激しく、演じる彼と一緒に泣きました。むしろ私がイメージするショパンに近かったかも知れません。

ショパン演じるPiotr Adamczykの雑誌インタビユーより

質問:サンドはショパンを天使の様な人と言っていますが、そう思いますか?

Piotr:はい、そう思います。ショパンは情熱を秘めた、我慢強い人と思います。彼についての本当のことは分かりませんが、真実は彼の音楽にあると思います。

質問:ショパンの音楽をよく聞かれたと思いますが、いまでも聞きますか?

Piotr:はい、前よりももっと好きになりました。

質問:ピアノはオイレニチャック氏が弾きましたが、映画の中で御自身が演奏された曲はありますか?

Piotr:はい、一曲だけ実際に映画の中で弾きました。演奏方法などオイレニチャック氏から指導を受けました。よく相談したりして、まるで彼の弟子になったみたいです。

質問:ショパンを演じることによって、御自身で何か得たことは?

Piotr:Meeting Chopin, I learned myself much more.

質問:この映画撮影後のお仕事は?

Piotr:ドンファン(オペラ)を演じます。

Piotr Adamczyk=1995年PWST(演劇大学)を首席で卒業。Cwaleに出演。ワルシャワ劇団に在籍、テレビや劇場に出演活躍中。

(追伸)ポーランド語が分からなくてもじゅうぶん楽しめる映画です。ポーランド語を勉強中の方には、大変良い教材になります。

ちなみに、この映画で私が学習したポーランド語。。。。『バルゾ ツエ コハン.』

記録:事務局 影山美恵子

e-mail: mieko@orange.ne.jp

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