ラファウ・ブレハッチ 2013.12 来日コンサート

(2011 コペンハーゲンで)

 気が付けば、ラファウが最後に来日したのは3年も前まで遡ります。

当時はショパン生誕200年のアニバーサリーイヤーと重なり、各地でオール・ショパンのプログラムが組まれ、待望のコンチェルト2番の披露などによって、ショパン好きで知られる日本の聴衆は大いに盛り上がりました。

そして今年、不運にもインフルエンザに罹患したことによって2月の来日は中止となってしまいましたが、早々に来日スケジュールを12月に組み直してくれた彼には、感謝以上の言葉を造って贈りたい気持ちです。

大いなる喜びを胸に、コンサートホールに足を運ばれた方々も多かったことでしょう。

私も4公演全てを聴くための労力を、惜しむはずもありませんでした。

今回用意された演目は、モーツァルト、ベートーヴェン、そしてショパン。

既に録音もしているモーツァルトのソナタK.311は、愛らしい表情に満ち溢れた曲です。

以前彼の自宅を訪れた時も、ピアノを爪弾きながら「可愛らしい曲だよね」と言っていましたが、今回のラファウの演奏を聴いて、実はこの曲をより高い位置から眺める「俯瞰」が出来ていることに気が付きました。

そのため隅々まで神経の行き届いた、知情のバランスの取れた完成度の高いモーツァルトを存分に味わわせてくれました。

続くベートヴェンの7番ソナタでは、浜松コンクールで初めて2番ソナタを聴いた時の感覚が蘇りました。

それはまるで水源から自然と湧き出る天然水のような、ピュアな音楽的感性の発散を感じたことです。

何が私にこんな感覚を呼び起こさせたのか。それはおそらく、演奏者がステージから伝えるべき基本的な要素である、「この曲が好きである。」というメッセージを、演奏の端々からヒシヒシと感じたためかも知れません。

神経の行き届き方もモーツァルト同様、各楽章の構成もとても良く練られていると感じました。

興味深かったのは、演奏の回を重ねる毎に、成熟の度合いが上がって行く様を目の当たりにしたことです。

最終日の埼玉では、正にこのツアー最高潮の演奏ではなかったでしょうか。

(2011 ナッククオの教会で)

日本での公演に不可欠となったショパンの演奏は、それに輪をかけて素晴らしいものでした。

甘美な夜想とばかり思っていたOp.32-2のノクターンから、よもや切ない涙を流すことなど誰が想像できたでしょうか。

録音を終えて意欲十分のポロネーズ2曲はまさに熱演。

推進力と気高さに富む軍隊、暗闇の中から立ち込める不安と、それに抗う精神の強烈な葛藤を感じさせたOp.40-2。

言わずもがな素晴らしいOp.68のマズルカには、格別の驚きは感じなかったものの(素晴らしくて当たり前)、スケルツォ3番の演奏には、彼の今後のショパンへのアプローチに、多大な興味を抱かせました。

私はこれまで「一体彼がこの曲を弾く日が来るのだろうか。」と、ずっと思い続けていました。

同じ"Prest con fuoco"を持つ1番とはまた性格の違う、より激情した表現が必要となるこの曲に、ラファウとのギャップを感じていたからです。

もしこの曲に挑戦するのであれば、これまでとは違う別の扉を開ける必要があるだろうと考えていました。

そして今回の演奏を聴いて、とうとうその扉が開かれたと実感しました。

Op.40-2のポロネーズでもそうですが、時に情熱のほとばしりを聴かせるかのようなフォルテは、これまでの彼のショパンからは聴かれないものでした。

とはいっても、これまでの良きラファウのショパンを失ってしまった訳ではありません。

アンコールで弾かれた心の奥底まで染み入る、哀愁に満ちたワルツOp.34-2を聴けば、おのずとそれは分かります。

「ショパンとは」この問いに対して、彼は決して的外れな回答はしません。

このツアーで私は、モーツァルトで始まった初日の武蔵野から、最後の埼玉での“定番の別れの曲”プレリュード7番を聴くまで、充実した音楽空間にどっぷりと身を浸すことができました。

初めて出合った浜松コンクールからちょうど10年。

全く期待を裏ることなく成長してくれた彼に、私は嬉しさを隠しきれません。

一足早いクリスマス・プレゼントをありがとう。

ラファウ、良いクリスマスを!。

ファンクラブ会長・片桐章利 平成25年12月21日

ブレハッチを訪ねて in TOKYO、滞在先ホテルで(12/13過ぎの深夜)

片桐片桐会長、影山(ポーランド市民交流友の会)、ブレハッチ

滞在先のホテルの窓から毎夜見ていたと言う、クリスマスイルミネーション。

ブレハッチ ジャパン ファンクラブ事務局 :砂子祐子

連絡先:e-mail : ra_piano2005@yahoo.co.jp fax: 053 523 1297

(問合せ)記録 事務局:影山 e-mail: polja@mail.inh.co.jp

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