2000国立ショパンアカデミー学院夏期セミナー報告


影山美恵子(E-mail: mieko@orange.ne.jp)






学院玄関ホールショパン像の前で教授陣、通訳、スタッフ そして受講者達

 

 8月下旬のワルシャワはすでに初秋。ショパンコンクールを目前に準備なのか、あちらこちらで改修工事が忙しく行われていた。

 今年もショパンの母校ポーランド国立ショパンアカデミー学院で、夏期セミナーが8月23日から9月2日まで開催された。

 「音楽は世界共通の言葉」と言われるが、たとえば日本人の心の中には、五七五の音が刻み込まれている様に、その国に生まれた者が生まれながらに持っている独自の音楽がある。ポーランドにもある! ポーランドの自然の脈動が、その住む人々の肌を通して、呼吸となり、鼓動となって放出される。その呼吸こそが、ポーランドにおいてショパンの音楽なのだ。

 セミナー受講者達は、その呼吸を追求するために、レギナ・スメンジャンカ教授、カジエミエシ・ギエルジョド教授、テレサ・マナステルスカ教授、アンナ・シュライベル教授の指導を受けに来た。

 個人レッスンは日本語通訳つき各90分が5回とあってその内容は充実。学院には全員個室の練習室が確保でき、なんと午前8時から18時までをたっぷりと学院生として自由に練習することができた。セミナー受講者は高校生から、音大生、ピアノ教師など幅広く参加した。

 『こんなに充実したレッスンは初めてだった。一番大切なことを忘れかけて練習していたことに気づかせてくれた。』と、加藤紀子さん(音大生)。

 『非常に細部まで詳しく指導されて、メカニックなど基本的なことから教えていただきました。』と、恒川静江さん(ピアノ教師)。

 『日本では得られないレッスンでした。音楽の勉強の厳しさ、深さ、素晴しさを今までにない感覚と感情で受け取ることが出来ました。』と上原愛さん(音大学院助手)。参加者16人中3人の受講者が、来年度ショパンアカデミー学院の正規留学を決意した。

 セミナー最終日は、学院コンサートホールで修了式が行われた。ホール壇上でギエルジョド教授から労いの言葉とともに一人一人に修了証書が手渡された。そして、いよいよ修了コンサート。コンサート開催は地元新聞等にも掲載され、およそ80人を越えるポーランド人の観客が来場した。プログラムは各々のレッスン課題曲からショパンBallada. Walc. Mazurki等のショパン作品以外にラフマニノフ Sonata, リストのWalc Mefisto、バッハなど 超大曲ぞろいの演奏だった。 雷鳴の拍手と歓声。『毎年レベルアップですね。』と、通訳を担当していただいた熊谷チャプリツカ久美枝さん。修了演奏を終えた受講者の姿は、晴れ晴れと輝いていた。

 このコンサートは全て収録され、後日2枚のCDとなった。それは受講者にとってポーランドの呼吸、ポーランドの音楽を学んだ証として、今後のピアノ生活を飛躍させるでしょう。

  来年3月には、14回ショパンコンクール審査委員長を務めている、アンジェイ・ヤスンスキー教授も迎え、ショパンアカデミー学院でショパンの神髄を学ぶ『春季セミナー』が開催される。多くの方に参加していただき、ショパンの心に触れてほしい。

(追記)  ショパンアカデミー学院の正式名称は、『ワルシャワFショパン名称音楽アカデミー』となる。この学校は、ポーランドで最も古い音学院である。その歴史は1801年に「国民劇場付属演劇学校」と設立され、ヨゼフ エルスナーが音楽部門を教えた事に始まる。1821年音楽部門は独立した。それが「中央音楽学校」と名を変え、ショパンもここで学長J エルスナーのもとで、1826年から29年にかけて学んでいる。ショパンの名を現在の正式名称となったのは、1979年である。パデレフスキーも卒業生である。

 ショパンアカデミー学院は、ショパン協会に隣接していて、ショパン国際ピアノコンクールの参加者の練習会場でもあり、参加者は1日4時間練習する。そして、いよいよ第14回ショパン国際ピアノコンクールは開催された。昨年、ショパンアカデミー夏期セミナーに参加した、根津理恵子さんと堀江陽子さんが、ショパンコンクールの1次審査で健闘している。心から応援しています。

(かげやまみえこ・ポーランド市民交流友の会事務局 2000.10.22)





歴代学長の写真の前でセレモニー/緊張する受講者と、にこやかに微笑むスメンジャンカ教授(中央)シュライベル教授(左3人目)

憧れのギエルジョド教授とのレッスン風景

修了証書授与式、コンサートホールで

ショパンアカデミー学院寮、ジェカンカセミナーを通し、同じ目的、喜びを分かつ友達に巡り会う

セミナーをコーデネイトするマリアさん。受講者にとって、ポーランドの母





賑わう街ワルシャワの真ん中で、緑溢れひっそりとたたずむ国立ショパンアカデミー学院



e-mail: mieko@orange.ne.jp

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